東村山、小平、東久留米地域密着型不動産
これから売却を始める方も、すでに売却活動を始めている方にも読んでいただきたいです。
こちらの講座では実際に売却や住み替え活動を行なっていく際の、具体的な売却ノウハウや判断基準、売主さんとして売却活動をスムーズに進めるためにやるべきことを実際のご相談や売却活動から取り上げて、解説しています。
不動産会社よって販売方法や売却、住み替えのノウハウ、お客様のサポートの仕方は多少違うと思います。 どの会社をパートナーに選び、売却や住み替え活動を任せるべきなのかを決める際にも参考になる内容だと思います。 是非、興味のありそうな内容から読んでみてください。
かえる不動産
代表 田中正臣
プロフィール
東京都清瀬市出身。大学卒業後、銀行勤務を経て、かえる不動産を創業しました。 はじめて家を買う人、売る人の不安や疑問を解消し、安心して取引ができるようサポートすることをモットーにしています。
また、不動産売買をわかりやすく解説したFMラジオ番組のパーソナリティも務めていました。
不動産を買う、売ることで「家族の笑顔が増えました」「次の一歩を楽しく踏み出すことができました」そんなお客様の笑顔をみると、自分のことのように嬉しくなります。 そして、取引が終わった後でも、何か困ったときには「まずはかえる不動産に相談してみよう」とお客様に言ってもらえるような関係でいられるように日々努めています。
Q1.
ある不動産会社に売却の相談をしたのですが、親身になってくれ相性も良さそうだったのでその会社に任せたいと思っていますが、他の会社にも相談をしてから決めた方が良いでしょうか?
あなたの立場で親身になって相談に乗ってくれる不動産会社と出会えることは、売却活動成功の大きなカギになります。
そこに決めてしまいたい気持ちもわかるのですが、複数の会社の意見やアドバイスを聞いた上で、「ここだ」と思う会社や担当者を決めるという過程を経ることがとても大切です。
また、初めて会う担当者、初めて付き合う不動産会社1社だけの話を聞いて、売却を進めていくのはあまり得策だとは思いません。
そして、数社に話を聞くときも、電話やメールではなく実際に担当者と会い、物件も見てもらった方が良いです。
担当者とは売却活動中はもちろん、引き渡し後に不具合が出た際などにも対応してもらうことになるのでずっとお付き合いをします。
そのため「相性が良いか」も気持ちよく売却活動を進めていく上では
とても大切なことで、これは実際に会ってみないとなかなかわかりません。
また、物件についても実際に見てもらい、担当者がどう思うのかを聞いてみること、担当者が物件の事を理解するために質問をしてくれるかどうかにも注目しておいてください。 物件の事を一番わかっているのは売主さんですが、実際の広告活動やお客様に物件の説明をするのはその担当者です。
そのため、担当者から質問があった場合は出来る限り詳しく答えてあげることも大切です。
Q2.
査定価格が他と比べてかなり高い会社があります。嬉しい気持ちもしますが、なぜこれだけ価格差があるのかわからないです。どうしてなのでしょうか?
どうしてそのような高い査定額が出たのか、それで売れるのか?
まずは聞いてみるのが良いと思います。
それでもよくわからない場合は下記のことが参考になると思います。
不動産会社が算出してくる査定額というのは、不動産市況、過去の成約事例、周辺の売り出し物件価格などを踏まえて算出された信頼がある価格のはずです。
そのため、1社だけ他と比べてかなり高い価格になるということはないはずです。
また、不動産会社の査定額というのは、買い取り額ではないため、高い査定額を出してお客様に気に入ってもらい売却を任せてもらおうと考える営業マンも中にはいます。
そんな子供だましみたいなことに引っかからないと思われるかもしれませんが、 自分のお家ことを良く言われれば嬉しいので、ついその高い金額の会社に任せたくなると思いますが、これが大きな間違いです。
もし、その高い査定額で売却を開始した場合どうなるでしょうか?
おそらく売れずに時間だけが過ぎていきます。そして不動産会社から
「値下げをしないと売れないです」と連絡があり、そこで渋々価格を下げることになり、結局は最初の査定で他社が出していた相場価格で販売をすることになることがとても多いです。
また、高い価格で出しておいて売れなければ様子を見ながら価格を下げていく方法もありますが、買う側からすると「売れないから下げているのだな」というマイナスイメージをもたれることもあるので注意が必要です。
今は不動産情報をインターネットでいくらでも調べることができるため、そのエリアで探しているかたは、相場価格についてもかなり詳しい場合が多いです。
相場価格より高い物件は、価格が下がってきたら検討しようと考えて、問い合わせ等もせずにそのまま様子を見ていることも多いです。
そのため、売主様としても不動産会社が提示してきた査定額が高いのか、低いのか、相場価格なのかをある程度判断できた方が良いです。
相場価格を把握するのに役立つのが、「不動産チラシ」と「ネットの物件情報」
新聞折込やポストに入ってくるチラシを集めておく、ネットで近隣の物件がどのくらいで販売されているのかを調べてみる。これだけで大体の相場価格をつかむことができます。
実際、不動産会社の営業マンが査定価格を出す際に参考にしているのも、そのような近隣の販売事例です。
その上で不動産会社から提示された査定額をあらためて見てみると、それが高いのか、低いのかについてある程度わかるようになります。
それらをもとに売主様の売却希望期間なども考慮し、販売してくれる不動産会社とも相談した上で、最終的に価格を決定するのが良いと思います。
Q3.
もし家を売りだしても売れない場合はどうすれば良いのでしょうか?
いざ、売りに出してみたけどなかなか買い手が決まらない。
時間だけが過ぎていき不安な気持ちも大きくなると思います。
でも、必ず売れない理由があるはずです。
それが何なのかを考えて対策を立てることが大切です。
そこで、パターン別に売れない理由を考えていきたいと思います。
まずは、
◆「物件の見学も問い合わせも無い場合」◆
この場合は、相場より価格が高いということや、不動産会社の広告活動に問題があるかもしれません。
相場より価格が高い場合、購入を検討しているかたは見に来ることもなく、しばらく様子を見てみようという状態になることが多いです。
この場合の対応方法は、単純ですが相場価格で販売をするという方法が有効です。
ただ、ローンの残債の関係でどうしても相場価格より高めで売らなくてはいけないかたもいます。
その場合は、見学も問い合わせも少ないということをあらかじめ想定しておき、通常よりも時間をかけて販売していくことになります。
次に、不動産会社の広告活動に問題がある場合です。
インターネットで検索しても物件が出てこない、ホームページにでも出ていない。。。今の時代これではなかなか売れません。
また、広告だけでなく、他社のお客さんにも購入してもらえるように情報を公開しているかどうかも大切です。
ただ、これは確かめるのが難しいため、担当者に
「うちの物件は他社でも買えるようになっているのですよね」と確認してみてください。
自社で買主も見つけられれば、売主、買主双方から仲介手数料をもらえるため、他社に紹介をしないようにする会社も中にはあります。
広告活動もきちんとやっているにも関わらず、問い合わせなどが無い場合は、やはり価格に問題があることが多いです。
次に、
◆「見学や問い合わせはあるのに売れない場合」◆
この場合は、実際に見に来たお客様に不動産会社を通して聞いてみるのが一番早いです。よくあるのが、
・思っていたよりも日当たりがよくない
対策→お客さんが来たときにはできるだけカーテンを開けて陽が入るようにする、晴れている日はお部屋のどのあたりまで陽が入るのかを教えてあげる。
・家の中の劣化箇所や汚れがたくさんありリフォームをしないといけない
対策→リフォームをしてから売却活動をするのがのぞましいですが、難しい場合は、事前にリフォームの見積もりをとってどれくらい費用が必要なのかをわかるようにしておく、売主側でリフォームをして引渡しをするなどの方法が有効です。
・荷物が多く狭く感じる
対策→トランクルームを借りてなるべく荷物を少なくする、外に出ているものは可能な限り押入れなどに収納し、床と壁がみえる部分を大きくする などです。
相場価格より明らかに高い場合は別ですが、売れないからと言って価格を下げる前に、何が原因なのかをしっかりと考え、それに対して対策をすることがまずは必要です。
そのためには日頃から担当者と状況を共有しておくことも大切です。
Q4.
家のポストに「お家を高く買い取ります」「買い取り保証をします」というチラシがよく入っています。高く買い取ってくれると言われると気になるのですが、実際のところどうなのでしょうか?
家のポストに「お家を高く買い取ります」「買い取り保証をします」というチラシがよく入っています。高く買い取ってくれると言われると気になるのですが、実際のところどうなのでしょうか?
まず、前提として通常の売却(個人の方に売る)の相場価格と買い取り(業者へ売る)の相場価格は別になります。
そして、大切なのは
「買取りの相場価格は、通常で売却する相場価格よりも低くなることです。」です。
というのも、業者は買い取った後にはリフォームをして、利益をのせて個人の方に再販売します。そのため高く買い取るとその分、再販売時の売値も高くなり、売れない可能性があるため、一般的には通常売却時相場価格の7割~8割前後が買取り価格になることが多いです。
ただ、駅から近い人気のある物件や、築が浅くてリフォームもしないで再販売できるような物件だと通常売却の相場価格に近い価格で売れる場合もありますので、担当者に買取りだとどのくらいの価格になるのかを聞いておくのも良いと思います。
上手に買取りを利用するには、はじめから買取りだけを考えるのではなく、あくまでも通常の売却(個人の方へ売る)ができるように進めていくのが基本で、それでも売却期限があってどうしても売らないといけない場合や個人の方だと購入するのが難しい大型の物件、瑕疵(欠陥)がある場合などに買取りを利用するというのが良いと思います。
また、期限が近づいてから買取りを検討するのではなく、売却活動を開始する際に、買取りについても担当者と相談をしておくことが大切です。
Q5.
近くに子供の同級生がたくさん住んでいるので、できれば売却していることを知られたくありません。内緒で売却することはできるのでしょうか?
売却理由は様々ですが、中にはあまり前向きな理由でなかったり、お子さんの学校内やご近所の方に広まってしまったりすると都合が良くないというかたも案外多いです。
不動産関係の業者や実際に物件を探しているかたなど関係者には売却していることが知られてしまいますが、それ以外のかたに知られないように売却活動をすることは可能です。
では具体的にどのような方法をとるのかですが、簡単に言ってしまうと
「広告媒体を限定する」
ということです。
例えば
「同じマンション内や近隣へのチラシ配布はNGで」という感じです。
どの広告をNGにするかは不動産会社の担当者と話し合っておいた方がよいです。
ただ、広告活動を限定しない方が成約可能性はもちろん高くなります。
そのため、しばらく販売をしてみて、まったく問い合わせや見学などが無い場合には販売活動の幅を広げるか、価格を下げるかなど、何かしら打開策が必要になってきます。
また、売却を始める前に不動産会社に査定や相談をする際にも、できれば内緒で売却をしたい旨を伝えて、それを前提に成約までの期間や販売方法を考えてもらうようにするのがよいです。
Q6.
不動産会社に売却活動をお願いする際に必要な書類にはどんなものがありますか?
不動産会社へ売却をお願いする契約時(媒介契約といいます)にはいくつか必要な書類があります。
■権利証(登記識別情報通知)
■住宅ローン残債明細
■物件の間取が載っている図面
■ご近所との申し合わせ事項
■管理組合からのお知らせ(マンションの場合)
順にご説明させて頂きます。
権利証は古い家の場合などは紛失してしまっているかたもいます。
再発行はできないのですが、司法書士さんに本人確認をしてもらう必要があります。 費用は5万円ぐらいで不動産会社が段取りをしてくれます。
大変な手続きではありませんが、期限が迫ってからあわてて行うことにならないように、紛失してしまった場合は不動産会社の担当者へ早めに相談してみてください。
次に住宅ローンの残債明細です。
住宅ローンの残債額は、売り出し価格を決めるときや、住替え時の資金計画を立てる際にとても重要になります。
もし、お手元になくてもインターネットバンキングを利用されている場合は、残債の金額を確認することができます。
または、銀行に連絡して「残債の明細を再発行してほしい」と伝えれば再発行してくれます。
次に間取が載っている図面についてですが、購入してから時間が経ってしまっているとどこにあるのか探すのも大変だと思います。
大体の場合は、購入時の契約書が入っている不動産会社からもらったファイルに入っています。
ただ、契約書などたくさんの書類が入っているファイルの中を確認するのも大変だと思いますので、ファイルごと不動産会社に持って行き探してもらって下さい。
不動産会社はその間取図をもとに、販売図面などに載せる間取図を再作成します。
次にご近所との申し合わせ事項についてです。
例えば、
・境界に関して近隣と話し合いがまとまらず、境界が決まっていない、または境界に関しての覚書等を交わしてお互いに約束事項がある
・隣地の水道管が自分の敷地を通っていてそれを承諾している など売主様にしかわからないことで、購入をされるかたに引き継いでもらう必要があることなどがある場合は、それが書面でなく口頭の約束だとしても、あらかじめ伝えておいた方がお取引がスムーズに進みます。
最後に管理組合の総会議事録についてです。
不動産会社も管理会社に管理組合の会計状況や規約、総会での議決事項などの調査依頼をしますが、管理会社からの報告書式にそれらの状況が反映されるまでタイムラグがあるため、最新の情報でないことが多いです。
例えば、修繕積立金の値上げについて検討が始まっていたり、大規模修繕の計画を立て始
めているということは、管理会社からの報告事項に載ってこない為、管理組合からの回覧やお知らせなどで把握することが必要になります。
そのようなお知らせは保管していないことが多いと思いますが、売却を考え始めた場合には、ファイルしておくことをおすすめします。
もし、紙の資料がない場合でも、管理組合で検討されていることがあれば、口頭で担当者へ教えてあげてください。後で担当者から管理会社へ資料請求をして入手することも可能だからです。
Q1.
住みながらの売却になるのですが、お客さんの見学が多い曜日はありますか?また、見学に来るのは何日くらい前にわかるものなのでしょうか?
見学が多いのは、土、日、祝日ですね。
また、見学の日時が確定するのは、その週の木曜日、金曜日が多いです。
これには理由があって、不動産会社が週末物件を見に行きませんか?とお客様をお誘いするのが、木曜日、金曜日が多いということと、見学に来るお客様も同じようなタイミングで「今週末家を見に行ってみようか」となるのがこのタイミングでありことが多い為です。
でも、これだと見学に来られる売主さんにとっては週末の予定を立てにくいですよね。
家の却中はできるだけ土、日の見学に対応できるようにして頂くのが良いですが、予定がある場合はあらかじめ担当者に伝えておくとスムーズです。
例えば、予定が入ることがわかったらメールか電話で、
「土曜日の午前中は予定があるため留守ですが、午後2時から5時の間であれば対応可能です」
と伝えておけば、見学の希望が入ってもその対応可能な時間帯にまとめて見学を入れてくれるはずです。
また、平日がお休みの方もいますので、そういう場合は平日に見学希望が入ります。平日も奥様が家にいて対応可能ということでしたら問題がないのですが、お一人住まいや共働きで平日は家に誰もいないということもあると思います。
そういう場合は、可能であればご親族のかたに鍵をお預けして一時的に対応してもらったり、平日のお休み予定があれば少し先でもそれを担当者に伝えておいて頂き調整をしていくとスムーズです。
Q2.
エアコンや照明は引っ越す際に置いていきたいのですが、見学に来た人へ伝えた方が良いですか?
引越し先に持っていきたいもの、できれば置いておきたいものなど売主さんの状況に変わってくると思います。
基本的な考え方は、売主さんの所有物ですので撤去は自由です。もし置いていきたいものがある場合は、買主さんに了承してもらう必要があります。
よくあるのがエアコンです。売主さんとしてはまだ使えるし、購入するかたに使ってもらえたらいいなと思いますよね。
このときに買主さんから質問されることは、
「いつ購入したものですか?ちゃんと動いていますか?」ということです。
当然ですが故障して使えないものや、古くて汚れている、消費電力が今のものと比べて大きいなどデメリットがある場合は撤去を希望されることが多いです。
中には家具や家電をできるだけそのままにしておいてほしいという買主さんもいます。エアコン、照明器具、カーテン、洗濯機や冷蔵庫などの家電もそのまま置いた状態で引渡しとなることもあります。
これらのことは売買契約時に付帯設備表という書式を使って売主、買主間で確認をして書面で残しておきますのでその際に決めれば良いのですが、あらかじめ置いていきたいものがある場合には、不動産会社の担当者に伝えておいて、お客様もそれを踏まえて見学出来るようにしておくほうが親切です。
また、上記の書面で確認をした後に「エアコンをやっぱり持って行きたい」となってしまった場合は、買主さんに了承してもらい、変更内容を書面に残しておくというのがルールになっています。
買主さんからすると置いていってもらえると思っていたものが撤去されるより、撤去する予定だったけどやはり置いていきたいので使いますか?という方ががっかりしないですむので、どうするかわからない場合は撤去ということにしておきましょう。
Q3.
子供がいて、荷物が多い家族の為、室内は散らかっていることが多いです。でも、内覧時にはできるだけ掃除や片づけをするようにしたいと思いますが、ここは綺麗にしておいた方が良いなどのポイントはありますか?
住みながらの売却となると、生活しているお部屋を見に来るわけですから 片付けをするのも大変ですよね。
ただ、室内に荷物がたくさんあり床や壁の見えない箇所が多いとマイナス印象になりやすいです。
室内の荷物に関しては、室内に収納スペースがある場合にはとりあえずそこにしまっておくこともできると思いますが、収納スペースが少ない場合は一時的にトランクルームやレンタルボックスを利用するのが良いと思います。
利用料はかかってしまいますが、その何倍もの効果があります。
また、お風呂、トイレ、キッチンが汚れているというようなことを気にされるかたが多いです。
お風呂、トイレ、キッチンという水回りについては、「他人が使ったものを交換しないで自分が使えるか」という観点でお客さんは見ています。
そのため、壊れていることもなく十分に使えたとしても、掃除をしていなくて汚れているだけで、リフォームする必要があると考えることが多いです。
そうなるとリフォーム費用が予算オーバーになってしまうから見送る、価格交渉をして購入したいということになりやすいです。
時間がないときは、見学に来る前に水回りだけでも掃除をしてみてください。
Q1.
契約までに購入申し込みが複数あった場合にはどんな決まりやルールで進めていくのですか?
お家を見学に来たかたが、「購入したい」となった場合にはまず、購入申込書を不動産会社に提出します。
その購入申込書には、価格交渉やその他の条件(引渡時期等)が書かれていて、売主さんとしてはこれを受けて、話を進めるのかを検討します。
人気のある物件だと複数の購入申込が入ることもあります。
その場合、誰と契約すればよいのかを決める必要がありますが、これにはルールがあります。
まずは、単純ですが一番始めに手を挙げたかたが優先となる「先着順」です。
これで売主さんも合意すればこの方と契約をすることになるのですが、 複数申込が入ってきている場合はもう少し複雑になります。
例えば、1番手が価格交渉をしてきているが、2番手は交渉無しで購入したいという状況の場合、まずは、1番手に「2番手が交渉無し購入したいと言っていますが、同じく価格交渉無しということでしたら、先に手を挙げた1番手のあなたと契約をします」となります。
ここで、1番手がそれに応じれば、そのまま契約へと進みます。これを業界用語で買い上がり(かいあがり)と呼んでいます。
もし、1番手が「その価格では購入できない」となった場合は、2番手のかたと契約ができます。
また、契約は申し込みから概ね1週間以内に行うことが慣例となっています。
というのも、申込から契約までの間はノーペナルティでキャンセルができるため、不安定な状態です。ただ、住宅ローンの事前審査をする期間や不動産会社が重要事項説明書や契約書を作成するための調査に必要な
時間がかかるため1週間以内の都合の良い日を調整して契約をすることになっています。 そして、売主、買主が合意して、契約日を決めた段階のことを
『契約予定』と言います。
契約予定になった段階で物件の売却活動、申込受付はストップします。
また、購入申込が複数になった場合には、価格交渉や引渡し時期のほかにも、 住宅ローンで購入するのか、現金で購入するのか、住宅ローンの場合は事前審査が通っているのかなどの内容も踏まえてどうするかを考える必要があります。
後の章で詳しくご説明しますが、住宅ローンについては、買主さんの審査でNGが出てしまった場合は、受け取った手付金を返却して、白紙解約になります。
ただ、売買契約をしないと本審査ができないため、住宅ローンの事前審査を通しておくことが有効です。事前審査で通れば本審査でNGになることはごく稀です。買主さんが住宅ローンを利用する場合には審査が通るのかも担当者が確認しておくべき重要な点です。
そのため、現金で購入をされるかたはそのようなリスクがなく安心して取引ができるメリットがあります。
このあたりの不動産業界の慣例のようなものは、わかりにくいこともあると思いますが、専門家である不動産会社と相談しながら進めていけば良いので安心してください。
Q2.
売買契約時に必要な書類はありますか?また、物件代金は契約のときに受け取るのですか?
購入申込みの内容について合意すると、いよいよ売買契約に進みます。
まずは、売買契約時に必要な書類についてご説明します。
・権利証(登記識別情報通知書)
・付帯設備表と物件状況報告書
・運転免許証や住基カードなどの本人確認書類
・固定資産税の明細書(1年毎に市から送られてくる明細です)
権利証が無い場合には、別途公証人役場や司法書士さんの手続きが必要ですが、引渡しまでに済ませれば間に合いますので、契約時にはなくても手続きははできます。
固定資産税の明細書がお手元にない場合は、不動産会社が調査をすることもできますので担当者に知らせておいてください。
付帯設備表というのは、不動産会社の書式で、エアコンは売主が撤去する、照明は置いていくなどの設備や故障の有無を記録するものです。
物件状況報告書というのは、雨漏りやシロアリの被害の有無、自殺、他殺等の事件が物件及び周辺でなかったかなど、売主さんが知っていることを記載する書式です。
どちらも契約前にわかる範囲で記入をしておくと、契約時にスムーズに手続きが進められます。
次に、物件代金についてご説明します。
契約時には、手付金として50~100万円前後の手付金を受け取ります。
その後、買主さんの住宅ローンの準備や売主さんのお引っ越しが済んだタイミングで決済(引渡し)を行います。その際に手付金を引いた残りの金額を銀行振り込みで受け取ります。
例えば物件が2,500万円の場合、手付金で100万円、引渡し時に住宅ローンを利用して2,400万円を受け取るという感じです。
売主さんに住宅ローンが残っている場合は、この引渡し時に受け取る代金と手付金を合わせて住宅ローンを完済することになります。
また、不動産会社にお支払い頂く仲介手数料についても、引渡し時に受け取る代金の中から差し引きをしてお支払い頂くことになります。
ただ、大手の不動産会社などでは、会社の規定で契約時に手付金の中から半分、引渡し時に残りの半分という形で支払いをお願いする場合もあるようです。
契約から引渡しまで時間がある場合などは、手付金を使ってしまうかたも
いらっしゃいますが、買主さんのローン審査NGで解約(次項でご説明します)になった
場合などは、手付金を返還する必要がありますので注意が必要です。
Q3.
契約書の中に、買主の住宅ローン審査が通らない場合は白紙解約になるとありました。準備が進んでからそのようなことになると困るのですが。。。
購入をするかたの住宅ローン審査が万が一通らなかった場合は資金が用意できない為、契約を白紙解約にして受け取った手付金を戻さなくてはいけないという条項が契約書の中に入ります。このことをローン条項と呼んでいます。
買主さんにとってはメリットのある条項ですが、売主さんとしては
「一体いつになったら安心して引っ越しの準備ができるのですか?」
と聞きたくなると思います。
ご安心下さい。このローン条項は期限があります。
具体的には、売買契約をしてから概ね3~4週間前後が期限になります。
住宅ローンの審査は早くても1週間、途中で追加書類などを求められた場合は2週間前後かかることが多いです。
この期限までにローン審査が通らない場合、基本的には解約となります。
但し、1週間だけ延長すれば審査に通りそうだという状況のときなどは売主、買主合意の上、延長することもできます。
つまり、売主さんとしては、ローン審査が通ってしまえば安心してお引っ越しの準備ができます。また、ローン審査をする期間は契約してから長くても3~4週間です。
ただ、空家になっていて、できるだけ早く引渡しをしたいときや、売主さんが住み替えの為、新居の契約をする必要がある場合などはもっとスピーディーに動く必要があります。
そのため、ローン審査に心配がある買主さんの場合、契約前に住宅ローンの事前審査というものを通してもらうことも多いです。
事前審査を通しておくと本審査でNGになることはごく稀です。
Q4.
家を引渡し後に何か不具合が出た場合にはこちらで修理しないといけないのでしょうか?
引渡後に何か不具合が出た場合には一定期間だけ売主さんに修復責任があります。このことを瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)といいます。
具体的には、雨漏り、シロアリ、主要木部の腐食、給排水管の不具合という4つの箇所についてです。
期間は引渡してから3ヶ月というのが慣例になっています。
この間に上記の箇所で何か不具合があった場合には、まず不動産会社にその連絡が入り、担当者が現地の状態を確認し、修理のお見積もりをとります。
そして、お見積もりの内容を売主さんに確認してもらった上で修理を行います。
修理が終わった後に売主さんから工事会社へ代金を振り込む形なります。
マンションの場合は、雨漏り、シロアリ、主要木部の腐食は出ることはほとんどありませんので、給排水管が割れてしまっていて、水漏れを起こしてしまうという不具合が出ることがあります。
一戸建ての場合は、住んでいても見えない箇所が多い為、売主さんとしては「住んでいた感じでは大丈夫」としか言えないことも多いと思います。
また、購入される方がリフォームをする場合は、内装を解体した際などにそれらの不具合が見つかることもあります。
売主さんとしては、引き渡した後にこのような不具合の対応に関わりたくないと思われると思います。
そこでこの瑕疵担保責任を保証でカバーしてくる保険があります。
「瑕疵保険」と言って、瑕疵担保責任の期間である3ヶ月の間に不具合等が起きた場合は保険でカバーしてくれます。
保険に加入するには、有料の建物検査を受け、それに合格すると保険に加入できます。
売主さんとしては、検査料と保険料で10万円くらいの費用が必要ですが、不具合が出た際には保険で対応できるため、「何かでないか心配だな」ということにもならず気持ちも楽になると思いますし、買主さんにとっても安心して購入できるメリットがあります。
また、上記の瑕疵担保責任は比較的大きな不具合ですが、それ以外に、給湯器や床暖房などの設備の補修責任が引渡後7日間あります。
よくあるのが給湯器の不具合です。給湯器は寿命が10年~15年位と言われていますので、寿命の時期にあたってしまうと引渡後に動かなくなってしまうこともあります。
給湯器は交換するとなると20万円~25万円します。また、上記瑕疵保険と同じような不具合が出た場合の保険も出てきていますが、製造後10年以上経っていると対象外になってしまうことがほとんどです。
もし給湯器の調子が悪い場合は、引き渡し後1週間以内に故障してしまい、売主として修理費用を負担する場合のことも想定しておいた方がよいです。
番外編
ここまで売却開始から引渡しまで順を追ってご説明しました。
実際の売買契約書には特約や業界の慣例に基づいた取決めごとがたくさん出てきます。またそれらは専門用語で書かれていてわかりにくいことが多いです。
下記にそれらの具体的事例をいくつかご紹介をします。
■自宅が売れて売却の契約はしましたが、住み替え先で購入しようと思っていた物件が売れてしまいました。自宅の引渡し期限が迫っているのですが、 その期限を延ばしてもらうことは可能なのでしょうか
■土地を売却するため、隣地のかたと境界の確認作業をしましたが、境界の位置が違うのではないかと言われてしまい、確認書に署名はできないと言われてしまいました。境界の確定が引渡しをするための条件となっています。
■土地を古家有りのまま売却しました。買主さんが解体をしたところ地中から昔の浄化槽が出きたので、処分費用を負担してほしいと言われています。これは売主が負担する必要があるのでしょうか
■契約をして引渡しまでの間に地震や火災等の災害で家が壊れてしまった場合には契約破棄になってしまうでしょうか
上記はご参考にいくつかご紹介しましたが、トラブルになってしまった場合に頼りになるのは不動産会社の担当者です。初期の段階で素早く対応していれば済んでいたことが、対応が遅いなどの理由で大事になってしまうこともあります。
「それは当事者間で何とかしてください」
「担当者が転勤になってしまったのでわかりません」
もし、そのような対応されてしまったら売主さんは誰を頼れば良いのでしょうか?
売却を任せる不動産会社を決める際には、このようなことが起きたときでも頼りになるのだろうかという視点をもっていることが大切だと思います。