古家付き土地を売却し、無事に引き渡しが完了しました。

ところが、買主さん側で解体工事をしていると「地中からコンクリートガラがたくさん出てきました」との連絡が…。

現地へ行くと、掘っても、掘ってもガラが出てきて、このままでは地盤調査もできず、配管も通せず、家づくりが進まなくなってしまいます。

こうした場合は契約不適合責任が適用され、売主さんが撤去や処分の費用を負担することになります。

「自分で埋めた覚えなんてないのに…」と戸惑う売主さんも多いですが、一般的には引き渡しから3か月間は責任を負う決まりになっています。

今回のようなガラだけでなく、井戸や浄化槽、土壌汚染なども対象になります。

ただし、あらかじめその存在を買主さんが知っていて購入した場合は、責任は発生しません。

売主さんが先に解体して、更地にしてから売れば安心ですが、解体費用の問題で難しいこともあります。

そんなときは、例えば、解体作業が完了するまでの期間、売買代金の一部を取り置きしておき、万一の費用にあてられるよう準備しておく方法はいかがでしょうか？

何も出なければ良かった！で終わりですし、もし出てきた場合でも、そうやって心積もり、準備をしておけば、精神的な負担を軽減できるのではと思います。

「母がマンションに一人で暮らしていますが、施設に入ることになったので売却の相談をお願いできますか？」

そんなご相談を息子さんからいただきました。

現地でお母様にお会いして、お元気そうではありましたが、施設に入ることで環境が変わったりして、認知症が進むことが少なくないというお話も聞いたりします。

実は、多くの方がご存じないのですが、物件の所有者本人が認知症等になったりして、意思表示ができなくなってしまうと、売却はできません。

「えっ、そうなんですか？ 私が代わりに手続きするのはダメなのですか？」

そうなんです、息子さんに任せるという意思表示もできないので、成年後見制度等を利用する必要が出てきます。

私は「転ばぬ先の杖」として、お母様が元気なうちに家族信託という方法で息子さんに、売却の権限を委託する方法をご紹介しました。

ただ、家族信託も簡単にできるわけではなく、信託契約書を作成したり、公証人役場へ行ったり、登記をしたりと色々な手続きがあります。

それらの手続きについて司法書士さんなど専門家にお願いするための報酬や、登録免許税などの費用など、合わせて数十万円かかるのが一般的なので、どうするか悩みますよね。

今回のお母様の場合は、施設での生活のご様子を見ながら、家族信託をするかどうか検討しつつ、早めに売却活動を始められるよう準備しておくことをおすすめしました。

私も司法書士さんと連携して、いざというときにはすぐに動けるように準備をしつつ、スムーズに売却活動が進むようにサポートをさせていただきたいと思っています。(^^)